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2012年から1年に1回、早池峰山の22地点で空間放射線量を測定している。といっても、測定器は花巻市で貸し出している簡易測定器で、γ線しか測れないし測定方法も各地点1回だけ(日帰り登山のなかで測定するので2回以上測る時間がない)なので誤差がどの程度生じているのか分からない。あくまで参考程度のものにすぎない。4年分並べてみてなんとなくわかるのは、①2012年よりはおおむね放射線量は下がる傾向にある。②岩石の上よりも土の上の地点の方が放射線量が高い。ということぐらいである。

震災直後、関東などの知人から「岩手は放射能は大丈夫か」と心配されたが、岩手県花巻市は福島第一からの距離は約250kmで、同地から東京までの距離とほぼ等しい。「東北は危ない」といういいかげんなイメージで捉えられていたが、実際の空間放射線量は東京とほぼ同じか、都内の方が高い地点もあった。事故から4年たった今、周囲で放射線のことはあまり話題にならなくなっている。大迫支所で簡易測定器を借りたら前回借りたのは1年前の自分だった。

早池峰山登山道周辺の空間放射線量簡易測定結果(クリックで拡大)
早池峰山空間放射線量
各地点の写真などは2013年12月の記事を参照のこと>2013年12月7日


正面コースからの鳥海山 2015.10.23


山頂避難小屋前  携帯トイレは避難小屋の中の無人販売箱で買える。 2015.10.23


小田越 2015.10.25

一昨日は鳥海山が見えるほどよく晴れたが、今日は曇り空に冷たい西風が吹いて早池峰山に少なくとも4回目の雪が降った。冬が近い。


2015.10.21 シーズン終了
先週の水曜日、早池峰山ではややまとまった降雪があり、翌日には標高1400mくらいから上は白くなっていた。


2015.10.15


頂上稜線付近


小田越コース八合目の鉄梯子付近


小田越コース五合目付近

積雪は多いところで15cm位はあったのではないだろうか。朝のうちは強い西風で途中で引き返す登山者もあったが、中には雪で滑るからと戻った人もいた。積雪期の登山に慣れない人や、十分な防寒着を持たない人はもう無理をせず登山は来年にした方がいい。初めて早池峰山に来る人は尚更だ。ただでさえ日が短くなって日没が早いし、見知らぬ山で天候の急変に遭えば安全の確保が難しい。関東以西ではまだ暖かいかもしれないが、北国の登山シーズンはもう終わったと考えてほしい。先週は岩手山での遭難死亡事故もあった。


雪は3日たっても日陰では融けきらずに残っていた。 2015.10.18



ところでこの雪の15日、早池峰山では道迷い事案が発生した。河原の坊コースを登って小田越に下山する予定の二人組登山者が誤って門馬コースを下山してしまったのだ。幸い道を間違えただけで怪我もなく、車を河原の坊に置いてその日は盛岡に泊まったということだったが…
その前の週には、小田越から薬師岳に登った登山者が道を間違えて南下し遠野側の又一の滝の方へ下りてしまい、通報を受けた警察に拾われるということもあった。
日が短く、気温も低下する秋には道迷い遭難から低体温症による重大事故へ発展する可能性も大きくなる。これから入山する登山者は十分に気をつけてほしい。

というより、未経験者・初心者はもう一般登山のシーズンは終わったと考え、早池峰山に来ないでほしい。来年にしてください。

だいたい登山者と話したり山での行動を見ていると、初めて来る登山者のおそらく8割は地図を持たないで来ている。なぜ地図も用意せずに初めての山に来れるのか理解できないが、ほとんどがそうなのだから仕方ない。小屋に「地図はありませんか?」とさも当たり前のように尋ねに来る。本来そういう方には回れ右をしてお帰り頂きたいところだ。

実際のところ登山道のロープや標識の整備された早池峰山では道に迷うようなところはほとんどないが、今回のように小田越に下山するつもりで門馬に下りたり、河原の坊へ下りるつもりが縦走コースへ入ってしまう例は時々ある。今月の2件の道迷い登山者が地図を持っていたのかどうかは確認できていないが、地図を持たずに歩いていて道に迷ったのだとしたら、地図を持ち常に現在位置を確認しながら行動していれば道迷いはある程度防げただろう。


山頂から下りて来て100mほどのところにある門馬コース(左)と小田越コース(右)の分岐。


ちゃんと「小田越→」の表示があるのだが。

しかし一方で、早池峰山で道に迷うような人はたとえ紙の地図を持っていても迷うのではないか?とも思う。こういう人は地図を見てもおそらく現在位置が認識できないのだから地図を持っていても無意味だ。そこで便利なのは、今やスマホの位置情報サービス付き地図アプリだ。中には携帯の電波が圏外でもGPSの位置情報を拾えるアプリがあり、それで現在位置を確認しながら行動すればよい。車の運転では多くの人がナビを使っているのだから、山でもナビを使うのが自然な流れだろう。古い人間からすれば電池が切れたら終わりの機器に頼るよりは、紙の地図とコンパスの使い方を覚えた方がよいとも思えるが、予備のバッテリーを持ってスマホの地図に教えてもらう方が現実的だ。なんと「山と高原地図」も無料アプリなんですね〜。これで10分おきにでも現在位置を確認しながら歩けば方向音痴の人でも遭難しない。

ところで再び、道迷いとは関係なく、基本的にもう今年の早池峰山の登山シーズンは終わったと考えてほしい。河原の坊の総合休憩所(ビジターセンター)は本日10月21日で今年度の業務は終了し、来年の5月中旬まで冬期閉鎖となった。河原の坊駐車場の公衆トイレも閉鎖されたので、用便は裏手の冬季用トイレで済ませることになる。くれぐれもその辺でしないこと。昨日も公衆トイレまで30mほど歩けばよいものを駐車場の片隅にたいそうな大便を垂れて行った者がいた。トイレの場所も守れないとは猫以下だな…猫ならたとえ外でしても後ろ足で砂ぐらいかけていくものだ。
登山口の携帯トイレの販売箱も冬囲いされたので、入山する人は予め用意してくること。

早池峰山のメインの登山口に通じる県道25号は、例年11月中旬には冬期閉鎖となる。雪が早いと閉鎖も早まる。事前に天気予報をよく確認して、天候悪化が予想されるときには入山しないように。初心者は来年の山開きを待って下さい。親切で時にはおせっかいな、腕章を巻いたおじさんたちももう来なくなるから。


2015.09.10 鶏頭山の話
早池峰山から西に伸びる尾根の先に、鶏頭山がある。早池峰山頂から尾根を縦走してもよいが、鶏頭山だけを登る場合は早池峰神社のある花巻市大迫町岳集落から日帰りで行ける。岳集落の入口で岳川にかかる橋を渡り400mほど進むと登山口があり、ここから登山道はひたすら樹林帯を登る。標高500mから登り始めるので、夏は暑い。アブやブユが寄って来る。視界も開けずただただ登るので早池峰山より疲れるような気がする。しかし我慢して登り続けて標高1170m付近の避難小屋を過ぎ、さらに10分ほど登り、ぱっとハイマツ帯に出て展望が開けた時の爽快感はなかなかのものだ。



早池峰山の小田越コース一合目の展望より、そこへ至るまでの苦労が大きいので喜びも大きい。花も早池峰山に負けないくらい豊富だ。生えているのは早池峰と同じような蛇紋岩植物で、しかも早池峰山より温暖なためか早く開花する。そして狭い範囲に花がいろいろ咲いているのでまとめて楽しめる。

短い鉄梯子がいくつか架けられた碧い蛇紋岩の岩場を越えてやっと頂上に着くと、石のお地蔵様が迎えてくれる。




ほっとして標柱を見ると、



ニセ鶏頭



ニセ鶏頭…



ニセ鶏頭?

ニセ…けいとう?

ここは鶏頭山頂ではない?

鶏頭山頂はさらに先だと?



初めてこの山に登った時、この看板を見て本当にがっかりした。やっと山頂に着いたと思ったのに。そしてここから三角点のある山頂までさらに30分くらいかかる。しかし山頂の方は特に特徴も無い、なだらかなピークで感動もあまりない。


三角点のある鶏頭山頂(後方は手前が中岳、奥が早池峰山)

ところで、お地蔵様まで祀られている頂きが何故「ニセ」鶏頭なのか。これは簡単に見過ごせない問題なのである。

鶏頭山の名前の由来は、山頂の岩場があたかも鶏のトサカのような形状をしているからだと考えられる。とすると、こちらが本来は鶏頭山の山頂ではなかったのか。そのことを、元大迫町文化財調査委員で郷土史家の小野義春氏は次のように書いている。

「山名の鶏頭山の由来は、名が示すように頂上の岩場が鶏頭に似ているところから名付けられた。『巖手縣管轄地誌 第三號之三』は明治九年(一八七六)八月に編輯された陸中國稗貫郡内川目村の「村誌」であるが、それには、山名の起因が示されている。
  鶏(※旧字体・筆者注)頭山 早池峰ノ支山ニシテ西ニ卓出ス、巓頂ニ亂石ヲ頂ク、遙ニ之ヲ望メハ鶏(※)頭ノ如シ、因テ名ツク
とあり、「巓頂」の「亂石」の形に基づく。この巓頂は国土地理院地形図に示す山頂(一四四五m)のことではない。(中略)最も典型的な景観としては、大又の新山川、新山橋付近からの眺望であろうか。「遙ニ之ヲ望メハ鶏(※)頭ノ如シ」とは、この付近を視点とする視角と考えられる。」(中略)



花巻市大迫町内川目大又地区付近からの景観(筆者撮影)


手前がお地蔵様のある岩場。奥の三角点のある山頂は目立たない。


雪が積もるとよく映える。 2012年12月


冬場も比較的よく登られている


小野氏の主張に話を戻すと、

 「乱石をいただく岩場には石造りの地蔵が祀られている。延命地蔵である。しかし原鶏頭としての由緒と歴史は忘れ去られ、心無い一部登山者によって昭和三十年代初頭あたりから「ニセ鶏頭」などと汚名的名をきせられるようになった。(中略)これは草鞋履きの登拝(信仰登山)から登山靴を履いた登頂(スポーツ登山)への変わり目で起きている。」(小野義春「大迫の地名(9)鶏頭山は地蔵の山」2009年 より)

とし、「ニセ鶏頭」の呼称は本来の由来を無視して着せられた汚名であるとしている。大迫町山岳博物館の元館長だった故一ノ倉俊一氏もまた、ニセ鶏頭という呼称に異議を唱えていた。

「ニセ○○という名は、近代登山の時代になって、いわゆるアルピニストたちが各所に命名した俗名である。彼らは最高点への登頂を重視し、その最高点への途次に似た山の形があると、目的の山頂かとだまされると称し、ニセという不愉快な名称を付した。景観的に鶏頭に似た地点であっても、それが彼らの考える真の山頂、すなわち最高点ではなく、その肩に位置するに過ぎないとして、勝手に名を変えたと思われる。
 山岳信仰の時代は地形景観重視の時代、近代登山の時代は海抜高度重視の時代、ということができよう。山に対する人々の心持のありようとしては、前者が本来のものである、と筆者らは考える。」(一ノ倉俊一・米地文夫「早池峰山の地形景観と地名・伝承との関係」『研究調査報告書 早池峰の自然環境』社団法人東北地域環境計画研究会、平成21年。)


つまり、「ニセ鶏頭」なる名称は昭和時代に登山者によって通称として付けられた名称に過ぎないのである。ところが今では全国の登山者が使用する昭文社の「山と高原地図」にもニセ鶏頭の名称が記載されている。
そもそも国土地理院が三角点を設置するときに、現在の「鶏頭山頂」は、その付近では最も標高が高いゆえに山頂と目されたのであろうが、そこが鶏頭山頂だと一体誰が言ったのだろうか? たとえ三角点は標高の高いところに設置したとしても、山頂の名称は歴史的経緯からすれば地蔵菩薩の頂きの方に記すべきだったのではないか。
あるいは山頂を標高の高いピークにしたとしても、岩手県が「ニセ鶏頭」を表示する必要はなかった。県が「ニセ鶏頭」の名称をさも公式の名称であるかのように標柱に記して設置したことが俗称の定着を招いたと言える。このような不名誉な名称は一刻も早く訂正し標識は取り除くべきではないだろうか。山頂の移動が難しい問題であるならば、とりあえず「ニセ鶏頭」の表示を外し、「鶏頭山」としておいて(三角点の方は「鶏頭山頂」など)もよいだろう。

折しもアラスカのマッキンリー山が先住民族の呼称であるデナリに米国政府によって正式に変更されたというニュースが入って来た(8/31)。引き合いに出すには知名度が違うが、「発見者」や「征服者」による呼称の押しつけが訂正されるべき時代は少し前から来ているのである。







この話は去年すでに県の担当課には伝えてあるのだがその後どうなったのだろうか…

連休は好天が続き、毎日何組かの登山者が早池峰山に来ていた。といっても、まだ登山口に通じる県道25号が冬期通行止めなのでそれほど数は多くない。最短コースでも、登山道に入る前に花巻市大迫町岳から登山口の河原の坊まで片道6kmの舗装道路を歩かなければならないからだ。その労を厭わず、また雪上歩行の技術がある人しか来ない。ところでそういう人たちが全員、携帯トイレを持って来ているといいのだが。早池峰山は今や一年中、持参の携帯トイレ以外に山中で用を足す施設はない。


河原の坊にはもう雪はほとんどない。去年の同じ日よりずっと少なくなっていた。 2015.5.3


河原の坊コース標高1200m付近の通称「石パネ」も雪が少なくて、帰りにシリセードしようと思っていた目論見は外れた。 2015.5.5


頭垢離(コウベゴリ)からござ走り岩までの直登、「御神坂」には三分の二くらい雪があり、アイゼンもいらないが雪上歩行が楽しめた。しかし北国に住むと冬は嫌でも雪上歩行しなければならないので、それがそんなに楽しいことなのかもはやよく分からないが。

その後山頂までほぼ雪はなく、登山道の大きな崩落も今年はない。


山頂は夏のように戻っている。


ただし避難小屋の前から小田越コース九合目までの間にはまだ雪が残る。それも今年は6月の山開きまでには消えそうだ。


向かい側の薬師岳の北面にはまだ雪が多そうだ。早池峰の小田越コースは一合目から九合目まではすっかり夏の道。


小田越コース一合目から小田越登山口までの樹林帯にはいつものように雪が残っているが、管理員の付けたピンクのテープを目印にして行けば迷うことはない。その雪も例年よりは少なく、高めの気温でどんどんとけている。


どこにとは言えないがもう春一番の花が咲いていた。


ミヤマキンバイは早くから遅くまで入れ替わりながら長く咲く。


この花はよほど注意して見ないと目に留まらない。やはり今年はやや早いようだ。


雪が融けた後、車の入らない車道にはノウサギの糞がぽろぽろ転がっている。冬の間に雪上に落ちたものが、雪が融けてそのまま道路上に残る。


今年のあの娘はこんな顔。


今年は冬期通行止め解除は5月15日(金)正午になったらしい。

ゲートが開けば、車で河原の坊まで歩かずに入れるので登山は手軽になる。しかしそれがいいことなのかどうかは分からない。往来する車に邪魔されずに岳から河原の坊までの道をゆっくり歩くよさというものがある。それはゲートが閉まっている間にしか味わうことが出来ない。そうして歩いていると、アスファルトの舗装道路がいかにもこの川沿いの道に似つかわしくないものに思えてくる。いっそゲートを閉めたままにして舗装もはがしてしまったらどんなにいいだろうと思う。宮古まで行くのは遠くなるが、早池峰山のような貴重な自然環境の真ん中に舗装道路が通っている方がむしろ不自然だ。
ともあれ車の来ない新緑の道を歩きたい人は14日までの間に楽しむといい。岳から河原の坊までゆっくり歩いて2時間程度。ただし…天気のいい日はブナやナラの花粉が飛散しているので敏感な人はマスクがあった方がいい。

ここからはゆっくり歩くと出会える花や鳥を紹介。(2015.5.3〜5.5)


静かにしているとホシガラスは近くまでやってくる。小田越で。


モズが高いところで監視。


河原の坊で毎年繁殖するキセキレイも戻って来た。


キビタキもさえずっている。


オオルリ。


クロジも静かな道路に出てくる。


マミジロも。


ヤマガラが目が合ってびっくりしてた。


ヒガラはどこにでもいる。ブナの新芽などをむいてついばんでいた。


カタクリはいつも連休ごろには笠詰あたりに咲いているのが今年はもう実になっていて、花はうすゆき山荘より上にしか残っていなかった。


クロモジの花。


イタヤカエデの花が切られて落ちていたが、誰かが食べるのにいいのだろうか。


エンレイソウ。


ヤマドリの羽が落ちていたので集めていると、


近くに一羽分あった。冬の間に何かにやられたようで少し古びていた。こんなにいらんわ。