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2018.09.09 柵のあとさき
9月4日から5日にかけて、東北森林管理局により早池峰山の南斜面に防鹿柵の設置が行われました。


9月4日。台風21号の接近する中、秋田からお越しの東北森林管理局の方々8名。
まず、標高1270m付近に周囲50mの柵を設置します。支柱はFRP製で、岩手県自然保護課のものより軽いです。


足場の悪い沢沿いの道を進みます。


現場に到着。トンテンカンテン。


案ずるより産むが易し。1時間20分ほどで設置を終えました。皆さんは8月30日に早池峰山の北麓、門馬コース登山道下部でも柵を設置していたので、作業が効率化できていたのかもしれません。


ところで、沢の石の下にトワダカワゲラがいました。水質階級Ⅰ(きれいな水)。

この日、台風の接近にともなって、作業の途中から雨が降り出しました。明日は大丈夫かな。


9月5日。台風は夜半に日本海を北上し去ったものの、朝まで雨が残ったために河原の坊の沢が増水していて渡渉ができず、水が引くまで3時間待ちました。
この日は、秋田からの8人に岩手南部森林管理署遠野支署から8人が加わりました。また、岩手県立博物館の学芸員さんも同行しました。(先日、岩手県の柵設置には地元新聞社が取材に来ましたが、今日は来ませんでした。)
前日より標高の高い1400m付近に、周囲50mの柵を設置します。前回の記事で取り上げた、シカがナンブトウウチソウやミヤマヤマブキショウマなどを食べていた高山植物帯です。去年から柵を設置してほしいと言っていたいわば核心部。


滝のようになった沢沿いの道を進みます。


現場まで、最後の急登を登ります。


到着後さっそく場所を決め、杭を打ちます。これまでの場所よりも土の少ない岩場のため、杭が打ち込めるか心配していましたが、場所を選ぶと入りました。


支柱に沿ってネットを広げていきます。シカの通り道を囲って…


あいつらが入れないように、ずんずんと…


案ずるよりー(以下略)。日本でも数少ない(?未確認ですが)高山帯の岩場での防鹿柵が完成しました。

周囲50mはわずかな範囲ですが、この場所への設置は去年からの念願でした。柵を設置したのは東北森林管理局ですが、ここへの設置を提言できたのは、センサーカメラの画像によって食害をシカによるものと確認できたからです。それは今年、岩手県自然保護課が天然記念物への現状変更の許可を取ってシカ監視員さんがセンサーカメラを設置したからです。様々な関係者の取り組みが柵の設置という一つの結果に結びついたと言ってよいでしょう。これからも、関係者がコミュニケーションを密にし効率よく対策を講じてゆければよいと思います。


さて、私は柵設置の翌日薬師岳へ登りました。


振り返れば早池峰。


もしかして…?

180909_hayachine3.jpg
ゴゴゴ… (ここからは写真をクリックすると少し大きいサイズが開きます)

180909_main.jpg
あっ

180909_main1.jpg
あった!…なんか、達成感を感じた一瞬だった。

180909_net.jpg
と同時に、柵に比べてあまりに広大な早池峰山。(赤い点が柵…見えますか?)


今年は早池峰山の歴史上初めて、岩手県と東北森林管理局により防鹿柵が設置されました。来年も、希少植物を保護したり、すでに失われた植生の回復を図るための柵を局所的に設置する取り組みは期待できそうです。しかし早池峰地域全体へのシカの影響度は昨年よりも確実に進んでいます。シカの食害を防ぐためには、局所的な柵だけでなく、シカが早池峰山域へ侵入するのを防ぐ柵が必要だと思います。早池峰山のシカは積雪期には麓へ下がります。春に上らせない対策が必要なのです。ある程度の距離でシカを防ぐ柵が必要でしょう。また、捕獲もこれまで以上に進めなければならないでしょう。
シカ対策に関わる様々な関係者が協力して一つのグランドデザインを描き、それに沿って対策を進めて行くようになればと願っています。
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