土砂崩れのため昨シーズンから閉鎖中の河原の坊コースで、登山道脇の植物にニホンジカのものと思われる食痕が昨年増えたことは以前書きました。今年度の振り返り2 河原の坊コースのシカ食害

今年は去年を上回る勢いで、春初めから多くの植物に食痕が目立っています。今年の特徴は、芽が出たばかりの植物を地表近くで食べていることと、木本類の若い葉を食べていることです。(写真は6/7と6/24)


出たてのイタドリを低い位置から食べることは、去年の春にはありませんでした。


クガイソウも早々とやられています。


タマガワホトトギス


いつも人気のセリ科(オオバセンキュウかエゾノヨロイグサ?)


アザミの類


懸案のマルバキンレイカは去年被害のなかった高い位置の株が食べられていました。


ここのシロバナトウウチソウは去年からシカのレストランみたいになってました。


ゴマナ?


タチカメバソウ


ナナカマド


ナナカマドは枝をわざわざ折って若い葉を食べています。


ウリハダカエデ


タニウツギは花期を迎えていましたが(6/24)


このように食べられて寂しくなってしまったものもあります。


ここは足下の草もさっぱりとなくなってしまいました。


この辺りは今どきは草が茂ってダムは見えづらいはずなのですが、草刈りをしたようにさっぱりしています。

河原の坊から小田越に続く県道25号沿いでも、木の葉を食べるのが今年は目立っています。


アオダモ?に多く食痕が認められました。


ハウチワカエデ

このほか、ツツジ科の木にも食痕が多かったです。
草本では、フキ、トリアシショウマ、ヤグルマソウが前から好物です。


トリアシショウマ

ヤグルマソウ


小田越周辺でも今年は食痕が増えていると聞きます。小田越の管理員さんは、オオバタケシマランが食べられてさっぱりなくなってしまった、と話していました。
岩手県では、早池峰山周辺地域シカ監視員を任命して、鳥獣保護区内でもニホンジカを捕獲できるようにしました。


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2017.03.30 春シカ
野暮用があって山へ入った。鶏頭山〜毛無森の南西側にあたる。


写真では一見わかり辛いが、これらはササである。葉がみな食べられてしまって茎だけになっている。ニホンジカの仕業だ。


日陰で雪が残っていてもシカの足跡がすっかり道になり歩きやすい。ラッセルの必要なし。


樹皮を食べた、いわゆる「皮はぎ」の痕。


雪から出たササの葉はほぼなくなっている。


こちらの皮はぎはやや古いもの。


ササ


足跡


足跡


足跡…


ササは食べられる


角が落ちてた。3歳くらいのものらしい。少し古びていて、今年のものではない。


南斜面は雪もなく、ササも食べ放題で丸坊主。




早池峰山の河原の坊コースが土砂崩れのため通行止めになって以来、人の歩かなくなった登山道沿いでニホンジカによる植物の食痕が目立つようになりました。ちょうど草木の芽や葉が伸びる時期に、道の両側のいろいろな草が食べられていました。

7月31日には、早池峰グリーンボランティアの方々が自主研修という形で河原の坊コース下部のシカ食害調査を行うということで、私も同行しました。岩手県立博物館の学芸員の方がいらして植物の同定をして下さいました。河原の坊コース登山口(標高1070m)から頭垢離(1377m)までの間で、61種の植物に食痕が確認されました。ここまで多いことに驚きました。このエリアにはニホンジカだけでなくニホンカモシカも生息しているため食痕だけではどちらかは分かりませんが、ニホンカモシカは以前からいて数も増えていないと思われる一方、ニホンジカはこの5年ほどで急激に侵入・増加し、それに伴うように植物の食痕が増えてきました。そのためこれらの食痕はほとんどがニホンジカのものとみてよいでしょう。


もっとも目立つのはセリ科のオオバセンキュウ(写真)とエゾノヨロイグサでした。


場所によっては裸地化したような状態になってしまっています。


オニシモツケも多く食べられています。


タマガワホトトギスは人間でも茹でて食べるのにいいそうですが。

シカの食痕が多いのは沢沿いの混交林をゆく道です。標高1300mから上、岩が大きくなってくるとやはり歩きづらいのでしょう、食害も目立たなくなってゆきます。


沢の渡渉点にあるシロバナトウウチソウの群落は丸坊主になってしまいました。


こうして繰り返し食べられているうちに絶えてしまうのではないでしょうか。(2016年10月5日)


この調査の日、沢沿いのある場所にキク科のマルバキンレイカが開花していました。


ところが、その4日後に同じ場所に行ってみるとなくなっていました。(2016年8月4日)


茎のあったはずの場所を苦労して探し出すと根元近くからなくなっていました。

それで、今年マルバキンレイカの開花が少ないことに思い至り、毎年咲く群落のある場所を探してみると、ほとんどの株が見事に根元近くからなくなっていました。これもシカに食べられたものと思われました。


2014年8月3日


同じ場所の2016年8月4日


根元近くの切断箇所

それからしばしばこの場所を観察してみましたが、この後もシカは繰り返し訪れては残ったマルバキンレイカやイワガラミを食べていたようでした。


イワガラミの食痕


2016年9月11日


2016年9月11日

登山道から首を伸ばしても届かない位置の株は無事でした。マルバキンレイカはレッドリストに載っているような希少種ではありませんが、早池峰山域ではそれほど多くは観察出来ません。来シーズンはこの場所に雪融けあたりから柵を立てた方がよさそうです。



河原の坊コースシカ食害調査(2016年7月31日)
食痕が確認された植物
ダケカンバ ヨツバヒヨドリ ノコンギク ゴマナ タニウツギ
オニシモツケ オオヒヨドリバナ ブナ ウツボグサ オオヨモギ
タマガワホトトギス ダキバヒメアザミ トリアシショウマ シロヨメナ オオイタドリ
アキノキリンソウ イヌコリヤナギ ナナカマド クロイチゴ クガイソウ
イヌガンソク ヤマカモジ ヨモギ ススキ アマニュウ
オクトリカブト マルバシモツケ オオバクロモジ ゼンマイ ミヤマアキノキリンソウ
イタヤカエデ(アカイタヤ)クジャクシダ オシダ エゾシオガマ エゾアジサイ
ミヤマセンキュウ マルバアオダモ フキ シロバナトウウチソウ ミヤマハンノキ
ホガエリガヤ ハウチワカエデ ウリハダカエデ ソバナ ツルデンダ
ミズナラ ノリウツギ ミソガワソウ ヤマブキショウマ マルバキンレイカ
コヨウラクツツジ ミネカエデ ハナヒリノキ アカミノイヌツゲ チシマザサ
オオカメノキ ハヤチネコウモリ オオバセンキュウ エゾノヨロイグサ センジュガンピ
ヤナギ属

(地表近くのためシカかどうか不明だが食痕のあったもの)
イヌガヤ オオバコ ベニバナイチヤクソウ
先頃、岩手県の産廃処分場候補地となった花巻市大迫町亀ヶ森地区の沢地周辺に鳥類の観察に入ってみた。



ミサゴは今月中頃まで巣の中に座っていたが、どうしたわけか2羽とも巣の外に出てしまっている…まだ孵化していなければ抱卵か、生まれてもしばらくはヒナを抱いて座っているか餌を求めて飛び回っていなければならないはずだが。繁殖は黄信号か。

候補地になっていた沢地に入ってみると気持ちのよい小さな畑地と田んぼがあり、小川が流れている。そして「ピックイー」と鳴き声がして、サシバが飛び立った。


サシバの若鳥。風切羽と尾羽の一部が伸長中に見える。


サシバは近くのスギのてっぺんにとまった。


その後も田んぼの杭にとまって探餌したり、マツの枯れ枝にとまったりしていた。

サシバは春になると南西諸島や東南アジアなどから日本本土に渡って来て繁殖をする猛禽である。日本では田んぼのカエルなどを主に捕食しており、水田のある里山環境によって保たれているともいえる。環境省では絶滅危惧Ⅱ類、岩手県のレッドデータブックではBランクに指定されている。先の岩手県の産廃処分場の候補地選定ではⅡ類の猛禽類は除外すべき場所の基準に入っていたのだが、ここにサシバが生息していることは知られていなかったので、選ばれてしまった。筆者はこの周辺では生息を確認していたが、候補地のまさに中心で確認したのは今回が初めて。ここが処分場として開発されてしまっていたらサシバの生息地が消滅していただろう。身近な環境を普段から詳しく観察しておくべきだと改めて思った。


ここはまさにサシバの好きそうな環境。埋め立てられることにならなくて本当によかったと思うと同時に、このような水田を維持している所有者の方に感謝したい。


ミサゴは巣を離れて沢地の方の尾根まで来てぼんやりとまっている…いいのか?


亀ヶ森ペアの推定♂。ミサゴは環境省では準絶滅危惧、『いわてレッドデータブック』Bランク。


先週にはオオタカも付近を飛んでいた。環境省の準絶滅危惧種、岩手ではBランク。


さらに大迫地域では筆者は初認のハチクマが飛翔していた。繁殖ディスプレイの羽打ち飛翔をしていたのでわかったのだが。

…ハチクマ…? わかんねーよ!?



残念ながらまともな写真が撮れなかったが、ハチクマはやはり繁殖のために日本に渡って来て山の中で蜂を食ってる変わった猛禽。環境省の準絶滅危惧種、岩手県レッドリストではCランク。亀ヶ森で繁殖しているかどうか観察を続けたい。


ハチクマ(宮古市内で)

やはり亀ヶ森は豊かな里山だった。そういえばサンコウチョウ(岩手県Dランク)の鳴き声も確認した。ほかに、ノスリ、トビ、ヒヨドリ、キビタキ、オオルリ、センダイムシクイ、カワラヒワ、ツツドリ、カッコウ、アオゲラ、アカハラ、ホオジロ、ヤマガラ、キジバト、ウグイスなど。人家のある県道沿いの方ではツバメ、スズメ、ハシボソガラス、セグロセキレイ、カルガモ、アオサギ、モズ、イワツバメなども。

2015.03.24 ミサゴ再来
旧大迫町地域に花巻や石鳥谷から入ってくるときにまず通るのが亀ヶ森地域である。その亀ヶ森の里山にミサゴという猛禽類の営巣地があることはたびたび触れた。通常、猛禽類の営巣地をわざわざ明らかにすることはないのだが、営巣地が産業廃棄物最終処分場の候補地になってしまい、喪失の可能性があったためにやむなく明らかにせざるを得なかった。

その亀ヶ森の営巣地に、今年もミサゴが繁殖のためにやってきているのを先日確認した。巣の周りに一時三羽いたのでこの後どうなるかは分からないが(通常は雌雄から成る1ペアが一つの巣を利用…当たり前だが)、とりあえず良かった。翌日には一羽が曲がったマツの木の上で、運んできた魚を食べていた。ミサゴは魚食を専らにする猛禽である。生息域は世界中に及んでいるが、決して安泰というわけではない。営巣地や、餌をとる海や河川や湖沼の環境が変わればあっという間に個体数の減少につながる可能性はある。なんということのない、しかし豊かな里山に今年もミサゴが戻ってきたことを喜び静かに見守りたい。


2015.3.21


2015.3.22


2015.3.22

一昨日からまた雪が戻ったが、もう春が止まることはない。ダム湖の氷も解けてきた。


2015.3.22 早池峰ダム