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里では雪の少ない冬でしたが、春先にどかどか降った雪が山ではとけずに、結果としてこの春の早池峰山は例年より残雪が多いようです。


5月5日 小田越コース九合目より山頂方向


同 山頂直下から東方向。宮古湾はもちろん、この日は360度大展望、岩木山や八甲田までも見えました。


同 小田越コース登山口から一合目までの樹林帯

5月10日には県道25号のゲートも開き、河原の坊に駐車して登山できるようになっていますが、小田越コース一合目までの樹林帯と、九合目から山頂までにはまだ残雪があります。アイゼンやピッケルなどは必要ありませんが、雪上歩行に自身のない方は6月第2日曜の山開きまで待った方がいいでしょう。まだ花も咲いていません。
河原坊コースは今年も通行禁止が続いていますので、他の登山コースを利用することになります。


そういえば二合目の手前の岩場にカモシカが休んでいた。
いいなあ、大きくなったらカモシカになりたい。


なに?

カモシカは以前から早池峰山に生息していて、急に個体数が増えたりもしない生態なので早池峰山の環境にとって脅威ではありません。


小田越に下りてきたらホシガラスもいた。


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さて、シカ。

5月1日
河原坊の登山口付近でシカの警戒声を聞きました。

5月2日
河原坊の登山口からすぐの登山道上でシカ1頭を目撃しました。
(河原坊登山道は閉鎖中ですが、管理のために入っています)


シカは右手から左方向に跳ね飛んで逃げ、あっという間に川を渡り対岸の斜面を駆け上った。
私は後を追って、写真を撮った!


…手にしていたスマホで。そういう時に限ってちゃんとしたカメラを持っていないものです。


でも写ってるんだ!


雪の上には、その日のものと見られる成獣2頭、子鹿1頭分の足跡が残っていました。
この日、小田越コース一合目付近で登山者がシカ2頭を目撃したそうです。
まだまだ雪が残るのにシカの出足は早いです。

この日私は、昨年岩手県自然保護課が設置した防鹿柵をチェックしに行くところでした。

昨シーズンの終了時の状況は↓
ほしがらす通信 2018.12.31 「今年のまとめと来年の展望」


5月2日 一番登山口に近い標高1115m付近。そのまま残した柵は、冬の積雪を乗り越え、ネットや張り綱の緩みもほとんどなく立っていました。ここでも積雪は1.5mはあったと思われます。
この日は天気が悪くここまでで引き返しました。


5月12日

今度は、河原坊コースの標高1400mまでの間に、昨年岩手県が設置した残りの2箇所と、東北森林管理局が設置した2箇所の防鹿柵を全て見てきました。


岩手県の柵 標高1180m付近


岩手県の柵 標高1260m付近


東北森林管理局の柵 標高1270m付近


東北森林管理局の柵 標高1400m付近


同上

これらは、支柱からネットを外してその場におろして残置してあったものです。
結果として、全て流されることもなく、置いたままになっていました。支柱を立てたまま残したところでは根元にやや緩みも見られましたが、倒れたものはありませんでした。今年の防鹿柵設置に向けた良いデータとなるでしょう。

5月2日にチェックした柵の前にカメラを仕掛けて置いたので画像をチェックすると、5月10日に子どもっぽいシカが2頭写っていました(頭から首のあたり毛の様子が違うので別個体と思われます)。




柵があるので、手も足も出ないだろう。はっはっは。


まあ、そうなればつまり、柵の外のものを食べるだけだよね。柵の中のものは食われない。
(柵の手前にあった草)

局所的に柵で保護するということは、そういうことです。
保護するものに優先順位をつけて、それ以外は見捨てる。世界中で早池峰山にしかない植物が食べられてなくなったら取り返しがつかないから。今年は高山帯にもっと柵が拡大されることになっています。

しかし、柵の外の植物が食い尽くされたら…?
その植物に依存していた昆虫がいなくなり、その昆虫に依存していた鳥類や哺乳類もいなくなります。生態系そのものが損なわれてしまいます。
早池峰山のシカ対策のゴールはどこに…?


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2019.03.30 あと1ヶ月
3月も末になって雪の岩手内陸ですが、あと1ヶ月ほどです。
何が…春が?大型連休が?
シカが早池峰山に上って来るのが。


2019.3.16 内川目・笠詰キャンプ場近く

早池峰山の登山口から西に下ること8kmほどの地点。シカが樹皮を食べた跡です。


県道25号の、今はまだ冬季通行止のゲートの中、笠詰キャンプ場の上側です。


その少し上にまた別の食痕がありました。




林内には足跡も濃く、


糞も多数。これは仔鹿のものでした。

知り合いのハンターさんによると、3月になるとある日突然、樹皮食いが始まるそうです。その理由はよく分かっていません。


ここのササは雪が降る前からボウズでした。


こちらは地面を掘り返しています。周りのササに葉はありません。


キャンプ場の法面のササは、最近食べられたようです。足跡が新しかった。

この春、岳地区つまり鶏頭山麓周辺での樹皮食いや糞・足跡などのシカの痕跡の多さは、今までにないシカの生息密度の濃さを示しています。かつてこの時期にこれほどだったことはありませんでした。
単純に考えれば、それだけシカの数が増えているということになります。

野生生物の個体数を推定することは難しく、必ずしも個体数が増えているとは言えないのでは?という考え方もあるかもしれません。
しかし、増えていないという証拠もなく、ただある事実は、これまで毎年シカの痕跡は増え続けていて、目撃も増え続けていて、あるエリアでいくつかの種類の植物が姿を消しつつある、ということです。そしてそれは今のところ、自然に以前の状態に戻ることはないということです。

この冬、早池峰山麓は雪の少ない冬でした。人にも楽でしたが、シカにとっても。雪の多い冬にはシカの死亡率が上がるという研究がありますが、この冬は生き延びやすい冬だったでしょう。仔鹿の足跡の多さはそれを裏付けているのではないでしょうか。

雪が消えると、いや消えるか消えないかのタイミングで、シカたちは早池峰山に上がってきます。
去年、5月6日に私は早池峰山南面の標高1360m付近でシカを見ました。ダケカンバの林の足元にはまだ雪がある時に。>ほしがらす通信「春はシカとともに」参照
あと1ヶ月というのはそういうことです。

幸い、今年は岩手県と東北森林管理局で、去年以上の規模で高山植物保護のための柵を設ける計画があるようです。
それをシカより早く、食べられては困る植物の周りに立てる必要があります。
残念ながら、優先度の低い植物は今年も姿を消していくでしょう。

私たち人間は生きることに忙しい。自己実現とか、異動とか、昇進、年金、保険、大通りや桜山での歓送迎会…
シカにとって生きることとは?食べて、食べて、食べて、子を成す。それだけです。

勝ち目はありません。

備えを。

大迫では、「第22回おおはさま宿場の雛まつり」が3月3日(日)まで開かれています。


今年は西のはじ、後藤商店からスタート。店主の後藤さんが親切に詳しく解説してくださいます。

後藤商店は生活雑貨・釣り具からお菓子などを扱うお店で、いわゆる中学生のたまり場ですが、雛まつりでは雛人形・花巻人形・錦絵にあんどん祭りの解説まで、守備範囲は広いです。大迫の雛まつりでお店を見て回るとどこでもお店の方が解説を熱心にしてくださいますが、話は単に人形の特徴や来歴にとどまらず、必ず大迫の町の生活史・産業史へと広がっていきます。


後藤商店の花巻人形(左上は「中国から来た人形」)。今年は花巻人形に注目して見ることにしました(後藤さんのところは写真撮影OKです)。


左は浦島太郎らしいけど、右は…?乙姫様とも違うような。


後藤商店でつい見てしまうのが、鯨のヒレに描かれた、捕鯨船による捕鯨の図です。
どういうわけか、「鯨のものを持っているのは貧乏人だ」と言われていたそうです。


普段から竹細工などマニアックなものを商っています。


笠好きにはたまらない笠のバリエーション。昔、釣りもしないのにここで菅笠を買ったことがあって今もうちにある。


後藤商店。


後藤商店の隣は岩手県交通の大迫バスターミナルだったけど、昨年末に大迫から町内の各地域へ伸びる路線バスが全て廃止となったことに伴い大迫バスターミナルもなくなり、今は更地になりました。ここに新しく地域活性化の拠点が出来ればよいのですが。

もう一軒、花巻人形が充実していたのは大迫商工会(正しくは花巻商工会議所大迫支所)でした。


これらは内川目の方の家にあったものだそうですが、とにかく保存状態がよく綺麗です。人形も大きめです。


花巻人形の解説はこれを読んで。


お内裏さまとお雛さま。


誰かに似てるんだよね。


なんとも言えない味わいです。


むずかしい顔をした天神さま(菅原道真公)。


神功皇后もメジャーな題材です。武運長久と子孫繁栄が合わさってるからでしょうか。


巨鯛を何食わぬ顔でおさえ込む恵比寿。魚が「あっしまった」って顔してる。


犬とおじさん(誰?)


こちらが商工会です。スーパーやまとの向かい側。

他にももちろん、メイン会場である「大迫交流活性化センター」、その隣の「早池峰と賢治の展示館」、そしてお雛さんを飾っている各家々に、面白い人形がいっぱいですが、ここでは紹介しきれませんのであとは皆さんでそれぞれ見に行ってください。必ず何か発見があります。

「第22回おおはさま宿場の雛まつり」は2019年3月3日(日)までの毎日、午前10時〜午後4時をコアタイムとして、大迫交流活性化センターをはじめ30の会場で開催されています。

大晦日にワイファイの飛んでいる役場の駐車場からお送りします、ほしがらす通信です。

〜今年のまとめと来年の展望〜

1.河原坊コース登山道について

〈今年のまとめ〉
・2016年以来の通行禁止3シーズン目。経過観察を続行。
・崩落地の状況は昨年とあまり変わらず。
〈来年の展望〉
・通行禁止のまま、経過観察を続けることになるでしょう。専門家の調査が入っていますので
 通行禁止を解除できる科学的な根拠がない限り、河原の坊登山道は再開できないでしょう。
 県自然保護課によると1、2年でどうにかなる状況ではなく、10年単位ではないかとのこと。

2.シカについて

〈今年のまとめ〉
・早池峰国定公園の全域でシカによる植物の被食が増加。山麓の樹林帯では植生が変わりつつある。
 高山植物帯への侵入も進んでいる(以下を参照)。
 ほしがらす通信「春はシカとともに」
 ほしがらす通信「シカ続々」
・岩手県と、東北森林管理局が、試験的に防鹿柵を設置(以下を参照)。
 ほしがらす通信8/29「やっとネットもっとやって」
 ほしがらす通信9/9「柵のあとさき」
〈来年の展望〉
・シカによる植物の被食はますます増加。山麓の樹林帯ではさらに多くの植物が姿を消す。
 それにより消えた植物に依存していた昆虫さらには鳥類などを含む生態系に変化が現れる。
 高山植物帯での食害もいっそう進む。
・岩手県と、東北森林管理局が少なくとも今年と同程度の局所的な防鹿策を設置。

そんな感じです。…来年それでいいのか?っていうのが問題ですが。


以下、シーズン後半の振り返り


11月1日、県自然保護課の設置した防鹿柵を撤去。

181101_1.jpg

181101_2.jpg
支柱を半分外して、ネットは足元にまとめておきます。このまま雪の下に。

181101_3.jpg
麓に近い場所はそのままにして様子を見ることに。ここのマルバキンレイカは今年、食われずにすみました。

11月7日、東北森林管理局の柵撤去作業。

181107_1.jpg
台風にも、ややよろけたけど、倒されることなく持ちこたえた高山植物帯の柵。

181107_2.jpg
こちらもネットを下ろします。

181107_3.jpg
支柱は撤去し、ネットは束ねて残置、来春まで様子を見ます。


180822.jpg
8月22日、うすゆき山荘下方、標高930m付近の県道脇。今年はエゾアジサイの被食が目立ちました。来年には姿を消すでしょう。

181011.jpg
10月11日。鶏頭山の南麓に当たる標高660m付近の林内の状況。ササを含め下草が見当たりません。

180912.jpg
9月12日。魚止の滝の下方、標高670m付近の県道沿いの林内に数日間滞在していたメス。

181025_1.jpg
10月25日。早池峰山の高山帯に隠れた草原があることがわかり、シカ密度の極めて高いシカパラダイスらしいことが推測された。
標高は1560m付近。

181105.jpg
そこでは固有種のナンブトウウチソウに、すでに被食を繰り返され矮化している個体が多く見られた。



…ここからは都会で撮影した画像です。




deerburger.jpg
いったい、鹿肉バーガー何個分のシカを倒せばいいのか。

lumine.jpg
シカの姿を見ない都会ではシカはファンタジーとして魅力的なアイテムです。この市の住宅街でもシカが出ましたが(笑)

181226.jpg
12月26日。岳のゲート近く、標高570m付近で。

20181226hayachine.jpg
2018.12.26

それではまた来年。

雨だったり台風だったりしているうちに紅葉は小田越を下り、今日は河原坊あたりから下まで下がってきました。早池峰山や中岳の中腹の紅葉は、台風で飛んでしまったようです。


10月2日、小田越から川井側へ少し行ったところ。


10月3日、小田越樹林帯のハウチワカエデ。


10月6日、小田越から河原坊側に県道を数百メートル。もう結構ミネカエデなどの葉は落ちています。


10月6日、河原坊の総合休憩所(ビジターセンター)脇のウリハダカエデ。


清廉の滝わきのオオモミジ?も赤くなってきた。10月6日。


赤くなりきる前に散り始めちゃった。