2025.01.16
早池峰山のシカ問題
早池峰山のシカ問題とは、早池峰山(域)にニホンジカが増えて植物を食べてしまい、植物群落が失われたり土壌の流失が起きたりしていることです。
早池峰山のシカ問題のこれまで:
2011年ごろから山麓でシカの目撃が増え始める。
2014年頃から山域の南側を東西に走る県道25号沿いでの食害が目立ち始める。
2015〜2016年頃には登山口付近で食害が進行、2017年には高山帯の固有種にも食害が確認された。
2018年には岩手県と森林管理署がそれぞれ、シカの食害を防ぐ柵を初めて設置。
こうしたことは、当ブログでカテゴリ:「シカ」を選んで頂ければ、過去の記事で知ることができます。
防鹿柵の設置が始まってから6年、さまざまな対策によりシカの被害は減ったのでしょうか。
実はまったくそんなことはありません。現在もシカによる食害は進行し続けており、草も生えなくなった茶色い地面が次第に標高の高い方へと広がっています。数年前から頂上稜線上でも食害が進んでいます。
今回は、2024年とそれ以前とで同じ場所で撮った写真を比較して、シカの食害の現状の認識を新たにしたいと思います。
正面(河原坊)コース登山道の1430m付近に、2016年の崩落で上方から落下してきたとみられる冷蔵庫ほどの大きさの岩があります。

2016年8月28日
ここは通称「御神坂」と呼ばれる直線で、登山道は標高約1400mから1560mのあたりまでまっすぐに続いています。
この道の両側にはハヤチネウスユキソウ、ナンブトラノオ、ナンブトウウチソウやミヤマヤマブキショウマといった固有種のほか、チングルマやマルバシモツケ、ウラジロヨウラクなどの植物が生えています。
この場所の今年7月23日のようすです。

両側の草や低木がシカに食べられてすっかりなくなり、イネ科やカヤツリグサ科などが目立っています。
ツツジ科の低木も葉が食べられて幹と枝だけになっています。
地面にはシカの糞が多数落ちていました。
(河原坊コースは現在閉鎖中ですが、私は自然公園保護管理員として年に一度は現況を把握するために歩いています。)
これまでの観察から、早池峰山の南面で歩きやすいところなら標高1500m程度までは、シカが夏の間定着して植物を食べていると思われます。

こちらは県道25号、標高925m付近です。2018年8月28日。エゾアジサイが咲いています。
この時はもうシカの食害が始まって数年経っており、この場所もトリアシショウマなどは無くなっていてエゾアジサイには食痕が見られました。

同じ場所、2024年9月18日。エゾアジサイは姿を消しました。

河原坊登山口の案内看板脇。2017年9月27日。ノコンギクが咲いています。
ノコンギクも、シカが最初は食べない植物だったのでこの時点では優占種となっていたものです。

同、2024年10月1日。ノコンギクは見られなくなり、(今はまだ食べない)ササとイネ科/カヤツリグサ科だけが生えています。

河原坊登山口の登山届の箱の裏。2018年9月24日。ここもキク科など数種の植物だけが残っていた状態です。

同じ場所の2024年10月1日の状況です。

2019年6月24日。河原坊登山口。オオイタドリと、足元にはキク科が生えています。

2024年10月1日。オオイタドリ?何それ?
刈り払いをしたわけでも、秋だから枯れたわけでもありません。もう一本もないのです。

こちらは東北森林管理局が2018年に設置した植生保護柵です。この柵の中には希少とまで言える植物はないのですが、当時シカが頻繁に出没しているエリアだったので柵で囲ってもらいました。
今では、柵の外側はすっかり植物がなくなってしまい、柵の中だけに「懐かしい」植物が残っている状態です。
早池峰山の登山口より県道沿いにずっと下がってみれば、下の方では被害はだいぶ深刻なものになっています。
冬もシカがいるためにササすらなくなったところ。ササはまだ残っているものの、その他の草本や低木が消えたところ。
この林床の荒廃のグラデーションが、次第に標高の高い方へと移動してきています。

2024年8月21日、ナンブソモソモに残された食痕。小田越コース頂上稜線「御田植場」(標高1880m付近)。

2024年9月12日、ツツジ科の食痕。小田越コース頂上稜線「御田植場」(標高1880m付近)。

2024年8月3日。小田越コース頂上稜線「賽の河原」(標高1880m付近)に残された足跡。
これが花の名山とうたわれ、高山植物の宝庫と言われる早池峰山の現実です。
この早池峰山の高山植物帯が失われるのも時間の問題と言えます。10年後か、あるいはもっと早く2030年頃か…
このままではその時は確実にやってきます。
私は昨夏、紀伊半島の大峰山系を歩きました。そこでは30年以上前からシカの食害が問題になっていました。
その山の林床は、現在の早池峰山の登山口付近の様子とよく似ていました。

山上ヶ岳で。ツツジが食害を受けている。

稜線上の多くの場所でトリカブト(有毒)だけが目立つ。

シカの足跡とヌタ場
早池峰よりずっと早くからシカの食害が問題となっていた大峰山系と、早池峰山がすでに似た状態であることに驚きました。
あと10年か、あるいはもっと早く、私たちは今までに誰も見たことのない光景を見ることになるでしょう。
牧野富太郎も、宮沢賢治も見ることのなかった、花のない早池峰山。
それがすぐそこまで近づいています。

2024年9月25日 河原坊で。
早池峰山のシカ問題のこれまで:
2011年ごろから山麓でシカの目撃が増え始める。
2014年頃から山域の南側を東西に走る県道25号沿いでの食害が目立ち始める。
2015〜2016年頃には登山口付近で食害が進行、2017年には高山帯の固有種にも食害が確認された。
2018年には岩手県と森林管理署がそれぞれ、シカの食害を防ぐ柵を初めて設置。
こうしたことは、当ブログでカテゴリ:「シカ」を選んで頂ければ、過去の記事で知ることができます。
防鹿柵の設置が始まってから6年、さまざまな対策によりシカの被害は減ったのでしょうか。
実はまったくそんなことはありません。現在もシカによる食害は進行し続けており、草も生えなくなった茶色い地面が次第に標高の高い方へと広がっています。数年前から頂上稜線上でも食害が進んでいます。
今回は、2024年とそれ以前とで同じ場所で撮った写真を比較して、シカの食害の現状の認識を新たにしたいと思います。
正面(河原坊)コース登山道の1430m付近に、2016年の崩落で上方から落下してきたとみられる冷蔵庫ほどの大きさの岩があります。

2016年8月28日
ここは通称「御神坂」と呼ばれる直線で、登山道は標高約1400mから1560mのあたりまでまっすぐに続いています。
この道の両側にはハヤチネウスユキソウ、ナンブトラノオ、ナンブトウウチソウやミヤマヤマブキショウマといった固有種のほか、チングルマやマルバシモツケ、ウラジロヨウラクなどの植物が生えています。
この場所の今年7月23日のようすです。

両側の草や低木がシカに食べられてすっかりなくなり、イネ科やカヤツリグサ科などが目立っています。
ツツジ科の低木も葉が食べられて幹と枝だけになっています。
地面にはシカの糞が多数落ちていました。
(河原坊コースは現在閉鎖中ですが、私は自然公園保護管理員として年に一度は現況を把握するために歩いています。)
これまでの観察から、早池峰山の南面で歩きやすいところなら標高1500m程度までは、シカが夏の間定着して植物を食べていると思われます。

こちらは県道25号、標高925m付近です。2018年8月28日。エゾアジサイが咲いています。
この時はもうシカの食害が始まって数年経っており、この場所もトリアシショウマなどは無くなっていてエゾアジサイには食痕が見られました。

同じ場所、2024年9月18日。エゾアジサイは姿を消しました。

河原坊登山口の案内看板脇。2017年9月27日。ノコンギクが咲いています。
ノコンギクも、シカが最初は食べない植物だったのでこの時点では優占種となっていたものです。

同、2024年10月1日。ノコンギクは見られなくなり、(今はまだ食べない)ササとイネ科/カヤツリグサ科だけが生えています。

河原坊登山口の登山届の箱の裏。2018年9月24日。ここもキク科など数種の植物だけが残っていた状態です。

同じ場所の2024年10月1日の状況です。

2019年6月24日。河原坊登山口。オオイタドリと、足元にはキク科が生えています。

2024年10月1日。オオイタドリ?何それ?
刈り払いをしたわけでも、秋だから枯れたわけでもありません。もう一本もないのです。

こちらは東北森林管理局が2018年に設置した植生保護柵です。この柵の中には希少とまで言える植物はないのですが、当時シカが頻繁に出没しているエリアだったので柵で囲ってもらいました。
今では、柵の外側はすっかり植物がなくなってしまい、柵の中だけに「懐かしい」植物が残っている状態です。
早池峰山の登山口より県道沿いにずっと下がってみれば、下の方では被害はだいぶ深刻なものになっています。
冬もシカがいるためにササすらなくなったところ。ササはまだ残っているものの、その他の草本や低木が消えたところ。
この林床の荒廃のグラデーションが、次第に標高の高い方へと移動してきています。

2024年8月21日、ナンブソモソモに残された食痕。小田越コース頂上稜線「御田植場」(標高1880m付近)。

2024年9月12日、ツツジ科の食痕。小田越コース頂上稜線「御田植場」(標高1880m付近)。

2024年8月3日。小田越コース頂上稜線「賽の河原」(標高1880m付近)に残された足跡。
これが花の名山とうたわれ、高山植物の宝庫と言われる早池峰山の現実です。
この早池峰山の高山植物帯が失われるのも時間の問題と言えます。10年後か、あるいはもっと早く2030年頃か…
このままではその時は確実にやってきます。
私は昨夏、紀伊半島の大峰山系を歩きました。そこでは30年以上前からシカの食害が問題になっていました。
その山の林床は、現在の早池峰山の登山口付近の様子とよく似ていました。

山上ヶ岳で。ツツジが食害を受けている。

稜線上の多くの場所でトリカブト(有毒)だけが目立つ。

シカの足跡とヌタ場
早池峰よりずっと早くからシカの食害が問題となっていた大峰山系と、早池峰山がすでに似た状態であることに驚きました。
あと10年か、あるいはもっと早く、私たちは今までに誰も見たことのない光景を見ることになるでしょう。
牧野富太郎も、宮沢賢治も見ることのなかった、花のない早池峰山。
それがすぐそこまで近づいています。

2024年9月25日 河原坊で。
2024.07.01
夏山シーズンが始まっています
早くも一年の半分が過ぎ去ってしまいました。
今年の山のシーズンもとっくに始まっています。
6月9日には国定公園早池峰山地域協議会による山開きの行事が行われ、ほどほどに大勢の人(約500人・コロナ前は1000人)が訪れました。
今年は冬の雪が少なかったせいか山の花の開花が早く、山開きの日にヒメコザクラがほぼ終わりハヤチネウスユキソウが見られるという珍しい年になりました。
ハヤチネウスユキソウは例年より2週間ほど早く、6月下旬に見頃を迎えました。
温暖化が進みこれから毎年このようになっていくのかもしれませんが、山に雪が少なかったことにより里ではすでに水不足の心配が出ています。

小田越コースで最も早く開花したハヤチネウスユキソウ
2024年6月8日

わんさか 2024年6月22日 小田越コースで
たまの投稿の度に残念なお知らせも気分はよくありませんが、河原坊の総合休憩所(ビジターセンター)の近くに咲いていたギンランがなくなってしまいました。

2024年6月17日

2024年6月21日
道端で人の目にもシカの目にもつきやすく、危うい株でした。
人による盗掘なのか、シカに根こそぎ持って行かれたのか。
確かなことは分かりませんが、噛み切られた断片などは残っていませんでした。
人が採って行ったとなると、自然公園法違反にあたります。
ここは早池峰国定公園の特別地域にあたり、指定植物の採取には岩手県知事の許可が必要です。
ギンランは指定植物であり、ギンランの採取許可は現在誰にも出ていません。
ギンランは早池峰の目につくところでは個体数は多くありませんが、ここより標高の低い山野にもあります。
わざわざ早池峰で盗っていかなくてもいいようなものです。
網で囲うとかえって目立つと思ってそのままにしていましたが、囲っておけばよかったですね。
人もシカも、植物は盗る・採るものという前提でなければ大切なものは守れないようです。
今年の山のシーズンもとっくに始まっています。
6月9日には国定公園早池峰山地域協議会による山開きの行事が行われ、ほどほどに大勢の人(約500人・コロナ前は1000人)が訪れました。
今年は冬の雪が少なかったせいか山の花の開花が早く、山開きの日にヒメコザクラがほぼ終わりハヤチネウスユキソウが見られるという珍しい年になりました。
ハヤチネウスユキソウは例年より2週間ほど早く、6月下旬に見頃を迎えました。
温暖化が進みこれから毎年このようになっていくのかもしれませんが、山に雪が少なかったことにより里ではすでに水不足の心配が出ています。

小田越コースで最も早く開花したハヤチネウスユキソウ
2024年6月8日

わんさか 2024年6月22日 小田越コースで
たまの投稿の度に残念なお知らせも気分はよくありませんが、河原坊の総合休憩所(ビジターセンター)の近くに咲いていたギンランがなくなってしまいました。

2024年6月17日

2024年6月21日
道端で人の目にもシカの目にもつきやすく、危うい株でした。
人による盗掘なのか、シカに根こそぎ持って行かれたのか。
確かなことは分かりませんが、噛み切られた断片などは残っていませんでした。
人が採って行ったとなると、自然公園法違反にあたります。
ここは早池峰国定公園の特別地域にあたり、指定植物の採取には岩手県知事の許可が必要です。
ギンランは指定植物であり、ギンランの採取許可は現在誰にも出ていません。
ギンランは早池峰の目につくところでは個体数は多くありませんが、ここより標高の低い山野にもあります。
わざわざ早池峰で盗っていかなくてもいいようなものです。
網で囲うとかえって目立つと思ってそのままにしていましたが、囲っておけばよかったですね。
人もシカも、植物は盗る・採るものという前提でなければ大切なものは守れないようです。
2024.01.07
2023年の振り返り
年も改まってしまいましたが、2023年シーズンのふり返りをしたいと思います。
①盗掘
盗掘事案については前回と前々回の記事の通り。盗掘の根本的な罪は、各種法律に違反するということではなく、その生き物が自ら選び取った環境で生きることを奪うということに尽きる。
シーズン終了後の関係機関の連絡会議で私は、警察に登山口での抜き打ち手荷物検査を行なって欲しいと要望し、警察署の方からは来年から行いたいという言葉が得られた。
警察による登山口での手荷物検査は、かつて行政や森林管理署、警察との合同パトロール時に行われていた。それで実際に盗掘犯を逮捕することが目的なのではない。警察が時々抜き打ち検査をするということが知られるようになれば、盗掘に対して少しは抑止になるだろう。来シーズンに期待したい。
②クマ
昨年は全国的にクマの出没が多かったことは記憶に新しい。人身被害も多く、岩手県は秋田県に次いで全国で2番目の件数だった。クマの被害はむしろ里山から人里で起きており、登山道が亜高山帯に近いところから始まる早池峰山とは事情が違っている。早池峰山麓の樹林帯ではブナの実が全く実らず、ナラ類のドングリもほぼ見当たらなかった。山にクマの食料がなかったために里に下りて行ったものと思われる。
早池峰山ではどうだったかというと、クマは前からいるし今年も出ていた。ただ、2022年のような人身被害はなかった。
とくに8月中旬の一週間に、小田越コース一合目の西側や八合目付近で、母熊と仔熊2頭の計3頭がしばしば目撃された。
私も小田越コース一合目の西側で一度目撃した。小田越コース二合目を下山中に、一緒に歩いていたハンターでもある管理員氏が肉眼で発見し(流石です)、一合目の登山道から100mほどしか離れていなかったのでその場で様子を見た。親子はハイマツや低木、高山植物が混じった環境で地面近くに鼻先を突っ込んで何かを探しているようだった。時期的にはハイマツの球果の食べごろは過ぎているのでハイマツではないようだったが、遠目には何を食べているのか分からなかった。コケモモか何かだったのかもしれない。
後ろから下りてきたお客さんも止めて、しばし待つ。次第に雨が強くなってきた。クマたちはもちろん、登山道に人がいることには気づいている。ゆっくりと登山道から離れる方向に歩いて姿が見えなくなった。私たちは下山を始めた。
と、一合目の少し上のカーブのところで、西側60mくらいのナンブトウウチソウの群落の中から、ひょいと仔グマが頭を出した。ハンター氏はすかさず大声で威嚇し、追い払った。
お客さんは野生のクマを見られて喜んでいた。

2023年8月18日 小田越コース一合目西側 仔熊2頭

同 母熊

仔熊がひょっこり顔を出した
一昨年のクマによる人身事故のあと、私は登山中にはなるべくヘルメットをかぶるようにしている。転倒時の怪我防止というよりは、クマに襲われた時に頭部を守るためである。クマによる被害の多くは、足を取られて倒された後、頭や顔面をかじられるものだと、知り合いのハンターさんに聞いた。クマスプレーも携行するが、自分が風上にいないと使えない。
③シカ
2022年シーズンのシカの状況もまとめないうちに次のシーズンも過ぎてしまった。
別に新しいことはない。シカは減ることはなく、早池峰山の植物を食べ続けており、今までに植物を食べてしまったところは裸地化に向かっており、食べられる草を求めてシカは生息エリアを拡げている。今年は頂上稜線の「御田植場」にシカが常駐していたことが、センサーカメラの記録からわかっている。
岩手県の対策は今までと同じで、いくばくかの面積をネットで囲って保護すること、シカ監視員やセンサーカメラを配置してシカの動向を記録し、また捕獲することである。森林管理局も植生保護柵の設置と捕獲、植生調査などを行った。(付け加えると環境省は早池峰山のシカ対策としては何もしていない。)
しかし県にしろ国にしろ、対策はまるで不十分と言わざるを得ない。このままでは残念ながら10年後には早池峰山で見られる植物の種数はかなり減っているだろう。

2023年6月21日 早池峰山南面1614m付近 見える範囲に9頭のシカが写っていた。
④早池峰山頂上避難小屋改修工事
早池峰山の頂上にある避難小屋の改修工事が行われた。作業員の方は毎日登山して工事を行い大変だったことだろう。前年に入札不調で工事が進まなかったことを思えば計画が進んでよかったが、工事が終わった小屋を見ると、設計なのか施工なのか分からないが、この仕様はどうなのかな?と思うところもあった。この小屋がどのように使われるのかリサーチ不足なのではと思うような点があったが、使いながら改善されていくのだろう。

改修を終えた早池峰山頂上避難小屋
⑤「早池峰山の花と森」
2023年9月23日〜12月3日に、岩手県立博物館で「早池峰山の花と森」という特集展示が行われた。早池峰山にもよく足を運び、シカ対策にも重要な役割を果たしている植物専門学芸員の方が企画したのである。
その中で特に筆者の目を惹いたものを紹介したい(どうせなら会期中にすべきでした、すみません)。
・大東町天狗岩山産ヒメコザクラの標本
現在、早池峰山でしか見られないために固有種扱いになっているヒメコザクラが、かつて県南の大東町(現一関市)天狗岩山にあったということは前々回の記事に書いたが、その標本が展示されていた。私はヒメコザクラが大東町に産したということを文字では読んでいたが、今回その証拠を初めて見たのである。天狗岩山ではその後盗掘により絶滅してしまったという。希少植物の盗掘の末はこういうことである。
・早池峰山で植物採集をしている牧野富太郎の写真
採集した植物をどっさり抱えて笑顔で写っていた。どっさり採集が今では考えられないし、牧野ならではの歴史的な写真であった。
「画像提供 盛岡てがみ館」となっていたので、興味のある方はそちらで見られるかもしれない。
**********************************
シーズン中ほかにも何かあったような気がするが、思い出したらまた記事にしたい。
ひとつ、夏が暑過ぎたせいか紅葉がまったく綺麗でなかったのが特筆すべきことではあった。
①盗掘
盗掘事案については前回と前々回の記事の通り。盗掘の根本的な罪は、各種法律に違反するということではなく、その生き物が自ら選び取った環境で生きることを奪うということに尽きる。
シーズン終了後の関係機関の連絡会議で私は、警察に登山口での抜き打ち手荷物検査を行なって欲しいと要望し、警察署の方からは来年から行いたいという言葉が得られた。
警察による登山口での手荷物検査は、かつて行政や森林管理署、警察との合同パトロール時に行われていた。それで実際に盗掘犯を逮捕することが目的なのではない。警察が時々抜き打ち検査をするということが知られるようになれば、盗掘に対して少しは抑止になるだろう。来シーズンに期待したい。
②クマ
昨年は全国的にクマの出没が多かったことは記憶に新しい。人身被害も多く、岩手県は秋田県に次いで全国で2番目の件数だった。クマの被害はむしろ里山から人里で起きており、登山道が亜高山帯に近いところから始まる早池峰山とは事情が違っている。早池峰山麓の樹林帯ではブナの実が全く実らず、ナラ類のドングリもほぼ見当たらなかった。山にクマの食料がなかったために里に下りて行ったものと思われる。
早池峰山ではどうだったかというと、クマは前からいるし今年も出ていた。ただ、2022年のような人身被害はなかった。
とくに8月中旬の一週間に、小田越コース一合目の西側や八合目付近で、母熊と仔熊2頭の計3頭がしばしば目撃された。
私も小田越コース一合目の西側で一度目撃した。小田越コース二合目を下山中に、一緒に歩いていたハンターでもある管理員氏が肉眼で発見し(流石です)、一合目の登山道から100mほどしか離れていなかったのでその場で様子を見た。親子はハイマツや低木、高山植物が混じった環境で地面近くに鼻先を突っ込んで何かを探しているようだった。時期的にはハイマツの球果の食べごろは過ぎているのでハイマツではないようだったが、遠目には何を食べているのか分からなかった。コケモモか何かだったのかもしれない。
後ろから下りてきたお客さんも止めて、しばし待つ。次第に雨が強くなってきた。クマたちはもちろん、登山道に人がいることには気づいている。ゆっくりと登山道から離れる方向に歩いて姿が見えなくなった。私たちは下山を始めた。
と、一合目の少し上のカーブのところで、西側60mくらいのナンブトウウチソウの群落の中から、ひょいと仔グマが頭を出した。ハンター氏はすかさず大声で威嚇し、追い払った。
お客さんは野生のクマを見られて喜んでいた。

2023年8月18日 小田越コース一合目西側 仔熊2頭

同 母熊

仔熊がひょっこり顔を出した
一昨年のクマによる人身事故のあと、私は登山中にはなるべくヘルメットをかぶるようにしている。転倒時の怪我防止というよりは、クマに襲われた時に頭部を守るためである。クマによる被害の多くは、足を取られて倒された後、頭や顔面をかじられるものだと、知り合いのハンターさんに聞いた。クマスプレーも携行するが、自分が風上にいないと使えない。
③シカ
2022年シーズンのシカの状況もまとめないうちに次のシーズンも過ぎてしまった。
別に新しいことはない。シカは減ることはなく、早池峰山の植物を食べ続けており、今までに植物を食べてしまったところは裸地化に向かっており、食べられる草を求めてシカは生息エリアを拡げている。今年は頂上稜線の「御田植場」にシカが常駐していたことが、センサーカメラの記録からわかっている。
岩手県の対策は今までと同じで、いくばくかの面積をネットで囲って保護すること、シカ監視員やセンサーカメラを配置してシカの動向を記録し、また捕獲することである。森林管理局も植生保護柵の設置と捕獲、植生調査などを行った。(付け加えると環境省は早池峰山のシカ対策としては何もしていない。)
しかし県にしろ国にしろ、対策はまるで不十分と言わざるを得ない。このままでは残念ながら10年後には早池峰山で見られる植物の種数はかなり減っているだろう。

2023年6月21日 早池峰山南面1614m付近 見える範囲に9頭のシカが写っていた。
④早池峰山頂上避難小屋改修工事
早池峰山の頂上にある避難小屋の改修工事が行われた。作業員の方は毎日登山して工事を行い大変だったことだろう。前年に入札不調で工事が進まなかったことを思えば計画が進んでよかったが、工事が終わった小屋を見ると、設計なのか施工なのか分からないが、この仕様はどうなのかな?と思うところもあった。この小屋がどのように使われるのかリサーチ不足なのではと思うような点があったが、使いながら改善されていくのだろう。

改修を終えた早池峰山頂上避難小屋
⑤「早池峰山の花と森」
2023年9月23日〜12月3日に、岩手県立博物館で「早池峰山の花と森」という特集展示が行われた。早池峰山にもよく足を運び、シカ対策にも重要な役割を果たしている植物専門学芸員の方が企画したのである。
その中で特に筆者の目を惹いたものを紹介したい(どうせなら会期中にすべきでした、すみません)。
・大東町天狗岩山産ヒメコザクラの標本
現在、早池峰山でしか見られないために固有種扱いになっているヒメコザクラが、かつて県南の大東町(現一関市)天狗岩山にあったということは前々回の記事に書いたが、その標本が展示されていた。私はヒメコザクラが大東町に産したということを文字では読んでいたが、今回その証拠を初めて見たのである。天狗岩山ではその後盗掘により絶滅してしまったという。希少植物の盗掘の末はこういうことである。
・早池峰山で植物採集をしている牧野富太郎の写真
採集した植物をどっさり抱えて笑顔で写っていた。どっさり採集が今では考えられないし、牧野ならではの歴史的な写真であった。
「画像提供 盛岡てがみ館」となっていたので、興味のある方はそちらで見られるかもしれない。
**********************************
シーズン中ほかにも何かあったような気がするが、思い出したらまた記事にしたい。
ひとつ、夏が暑過ぎたせいか紅葉がまったく綺麗でなかったのが特筆すべきことではあった。
2023.09.27
ヒメスズムシソウの盗掘
2023年7月22日、早池峰山の1700m付近で、環境省絶滅危惧ⅠA類、国内希少野生動植物種、いわてレッドデータブックAランクに指定されているラン科の植物ヒメスズムシソウが盗掘されているのを巡回中の自然公園保護管理員(筆者)が発見しました。ヒメスズムシソウは早池峰山では2018年に初めて生息が確認(筆者による)された植物で、ほかでは栃木県、長野県、山梨県でしか確認されていません。今回、早池峰山ではこの場所に生息していた8株すべてが根こそぎ持ち去られました。
前日には早池峰グリーンボランティアの方が生息を確認しており、盗掘は7月21日の午後から22日の夕方までの間に行われたとみられています。
早池峰山でのヒメスズムシソウの盗掘は、自然公園法違反(特別保護地区内での許可のない植物採取)、文化財保護法違反(特別天然記念物の無許可の現状変更および毀損)、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法・生きている個体の採取の禁止)違反、森林法違反(森林窃盗)にあたり、行為を行なった者にはそれぞれの法律に則った懲役や罰金が科されます。
岩手県では、ヒメコザクラの盗掘事案と併せて警察に相談しています。

盗掘前 2023年7月11日

盗掘後 2023年7月22日
前日には早池峰グリーンボランティアの方が生息を確認しており、盗掘は7月21日の午後から22日の夕方までの間に行われたとみられています。
早池峰山でのヒメスズムシソウの盗掘は、自然公園法違反(特別保護地区内での許可のない植物採取)、文化財保護法違反(特別天然記念物の無許可の現状変更および毀損)、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法・生きている個体の採取の禁止)違反、森林法違反(森林窃盗)にあたり、行為を行なった者にはそれぞれの法律に則った懲役や罰金が科されます。
岩手県では、ヒメコザクラの盗掘事案と併せて警察に相談しています。

盗掘前 2023年7月11日

盗掘後 2023年7月22日
2023.07.12
あの人ゆかりの早池峰の植物 そして盗掘
今期のNHK朝ドラ「らんまん」の主人公のモデルとなり、何かと話題に事欠かない牧野富太郎ですが、早池峰山の植物にも大いに関わりがあります。
現在知られている早池峰山の植物の多くを最初に世に知らしめたのは、「らんまん」にも登場したロシアの植物学者マキシモヴィッチでした。とは言え、マキシモヴィッチ本人は早池峰山には登っておらず、紫波出身の須川長之助が採集した標本を元にロシアで発表していました。
牧野富太郎は、主にマキシモヴィッチが発表した植物に和名をつけるという形で早池峰山の植物研究史に登場します。また、陸前高田出身の鳥羽源蔵など複数の人が早池峰山で採集し牧野に送った標本を元に牧野が公に発表したものもあります。
そして牧野自身は1905年8月に早池峰山を訪れ植物採集を行い、カトウハコベを発見しています。牧野が早池峰山で新たに発見したのはこのカトウハコベだけです。
さて、早池峰山でよく知られているこちらの花。

2023年6月7日撮影
Primula macrocarpa Maxim.
須川長之助が「北日本の甚だ高い山」で採集したと思われる標本に基づき、マキシモヴィッチが1868年に発表しました。
この植物に1897年、和名を「ヒメコザクラ」と命名したのは牧野富太郎です。
雪解け後の早池峰山にミヤマキンバイと並び最も早く開く花の一つで、5月〜6月にかけて高山帯のあちこちで目を楽しませてくれるサクラソウの一種です。
のちに岩手県大東町の蛇紋岩地で発見されたことになっています(その標本はどこかにあるのでしょうか?)が、その後その場所では盗掘などで絶滅したと言われ、現在では早池峰山でしか見られない貴重な花です。環境省のレッドリストでは絶滅危惧ⅠA類、いわてレッドデータブックではAランクに指定されています。

こちらは早池峰山の他の場所では花期を過ぎた中で、山頂直下に6月中旬まで雪が残るために7月に唯一開花が見られるヒメコザクラの株でした。
この数年でだんだん株数が増えてきたところでした。

2019年

2021年

2023年7月2日
なぜ過去形かと言うと、この株はおそらく盗掘により、失われてしまったからです。

2023年7月11日
この山頂直下の株は7月4日の午前中のごくわずかな時間に根ごと持ち去られたとみられています。
7月4日午前9時頃にこの一塊りの株が、すでに花が終わっているのを巡回中の自然公園保護管理員が確認しています。その数時間後にグリーンボランティアの方が、株ごとなくなっているのを見つけました。
山頂直下のヒメコザクラはここにしかないので長年早池峰に通っている人は毎年見ていました。
しかし、人の手により永久に失われてしまいました。残念です。
牧野富太郎はじめ多くの人によってその希少性を認められてきた早池峰山の植物は、現在何重もの法規制によって守られています。学術目的等で採取する場合には岩手県知事や文化庁長官の許可を得る必要があります。
2023年7月の時点で、早池峰山頂直下でヒメコザクラを根ごと採取できる許可は誰にも出ていません。つまりその行為は違法です。
早池峰山でヒメコザクラを盗掘した行為者は、自然公園法違反により6月以下の懲役または50万円以下の罰金、文化財保護法違反では50万円以下の罰金に処されます。また、岩手県希少野生動植物の保護に関する条例違反で、最高で1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されます。
すでに失われてしまった以上、盗人に何を言っても無駄なことでしょう。
牧野富太郎が早池峰山で1905年に発見し、その採集行のスポンサーであった加藤泰秋子爵の名を取って命名したカトウハコベ(詳しくは、ほしがらす通信2011年7月21日「人名を冠した花」を参照)も、2020年に盗掘された疑惑が持たれています。

2020年

2021年
石の上のわずかな土壌に根を張ったカトウハコベが、剥がされたようになくなっており、2020年にあった部分が、2021年には半分ほどの面積になっています。落石や強風で失われるような環境ではありません。
こちらも、足繁く早池峰に通われている方から2020年の秋に盗られたようだと情報提供を受けたものでした。
早池峰山では多くの愛好家が毎年、毎月、毎週、花を見て歩いています。盗掘現場を見られなくても、花が無くなったことにはすぐ気づきます。
近年、早池峰山の希少植物の情報流出については、登山SNSの登場が新たな懸念となっていました。
メジャーな登山SNSの一つのYAMAPでは、多くの人が高山植物の写真を投稿しています。そのほとんどに位置情報が付され、撮影場所をその人のマップ上で見られるようになっています。YAMAPでは、希少な高山植物の写真の投稿を禁止していますが、多くの人はそのことを知らないのではないでしょうか。中にはGPS情報を削除して写真を投稿している登山者もいますが、投稿の時系列などからだいたいの撮影場所が推測できます。
誰もが、山で出会った綺麗な花の写真を投稿して他者の共感を得たいでしょう。しかしそれにより、希少な野生植物の位置情報を悪意のある人物に提供してしまう可能性があります。
現に、悪意があるかどうかは別として、スマホの画面を見ながらうろうろと植物を探す様子の登山者をここ数年見かけるようになっています。
匿名で投稿でき誰もが見られるSNSへの高山植物の位置情報の投稿はやめて欲しいと思っています。
SNSの管理者も、投稿者に禁止行為をやめるよう、もっと積極的に促して欲しいと思います。
(注:このブログはいったい何人が読んでいるのかわかりませんが、希少性の高い植物については以前から載せていません)
牧野富太郎ゆかりの植物については、また機会を改めて紹介します(たぶん)。
現在知られている早池峰山の植物の多くを最初に世に知らしめたのは、「らんまん」にも登場したロシアの植物学者マキシモヴィッチでした。とは言え、マキシモヴィッチ本人は早池峰山には登っておらず、紫波出身の須川長之助が採集した標本を元にロシアで発表していました。
牧野富太郎は、主にマキシモヴィッチが発表した植物に和名をつけるという形で早池峰山の植物研究史に登場します。また、陸前高田出身の鳥羽源蔵など複数の人が早池峰山で採集し牧野に送った標本を元に牧野が公に発表したものもあります。
そして牧野自身は1905年8月に早池峰山を訪れ植物採集を行い、カトウハコベを発見しています。牧野が早池峰山で新たに発見したのはこのカトウハコベだけです。
さて、早池峰山でよく知られているこちらの花。

2023年6月7日撮影
Primula macrocarpa Maxim.
須川長之助が「北日本の甚だ高い山」で採集したと思われる標本に基づき、マキシモヴィッチが1868年に発表しました。
この植物に1897年、和名を「ヒメコザクラ」と命名したのは牧野富太郎です。
雪解け後の早池峰山にミヤマキンバイと並び最も早く開く花の一つで、5月〜6月にかけて高山帯のあちこちで目を楽しませてくれるサクラソウの一種です。
のちに岩手県大東町の蛇紋岩地で発見されたことになっています(その標本はどこかにあるのでしょうか?)が、その後その場所では盗掘などで絶滅したと言われ、現在では早池峰山でしか見られない貴重な花です。環境省のレッドリストでは絶滅危惧ⅠA類、いわてレッドデータブックではAランクに指定されています。

こちらは早池峰山の他の場所では花期を過ぎた中で、山頂直下に6月中旬まで雪が残るために7月に唯一開花が見られるヒメコザクラの株でした。
この数年でだんだん株数が増えてきたところでした。

2019年

2021年

2023年7月2日
なぜ過去形かと言うと、この株はおそらく盗掘により、失われてしまったからです。

2023年7月11日
この山頂直下の株は7月4日の午前中のごくわずかな時間に根ごと持ち去られたとみられています。
7月4日午前9時頃にこの一塊りの株が、すでに花が終わっているのを巡回中の自然公園保護管理員が確認しています。その数時間後にグリーンボランティアの方が、株ごとなくなっているのを見つけました。
山頂直下のヒメコザクラはここにしかないので長年早池峰に通っている人は毎年見ていました。
しかし、人の手により永久に失われてしまいました。残念です。
牧野富太郎はじめ多くの人によってその希少性を認められてきた早池峰山の植物は、現在何重もの法規制によって守られています。学術目的等で採取する場合には岩手県知事や文化庁長官の許可を得る必要があります。
2023年7月の時点で、早池峰山頂直下でヒメコザクラを根ごと採取できる許可は誰にも出ていません。つまりその行為は違法です。
早池峰山でヒメコザクラを盗掘した行為者は、自然公園法違反により6月以下の懲役または50万円以下の罰金、文化財保護法違反では50万円以下の罰金に処されます。また、岩手県希少野生動植物の保護に関する条例違反で、最高で1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されます。
すでに失われてしまった以上、盗人に何を言っても無駄なことでしょう。
牧野富太郎が早池峰山で1905年に発見し、その採集行のスポンサーであった加藤泰秋子爵の名を取って命名したカトウハコベ(詳しくは、ほしがらす通信2011年7月21日「人名を冠した花」を参照)も、2020年に盗掘された疑惑が持たれています。

2020年

2021年
石の上のわずかな土壌に根を張ったカトウハコベが、剥がされたようになくなっており、2020年にあった部分が、2021年には半分ほどの面積になっています。落石や強風で失われるような環境ではありません。
こちらも、足繁く早池峰に通われている方から2020年の秋に盗られたようだと情報提供を受けたものでした。
早池峰山では多くの愛好家が毎年、毎月、毎週、花を見て歩いています。盗掘現場を見られなくても、花が無くなったことにはすぐ気づきます。
近年、早池峰山の希少植物の情報流出については、登山SNSの登場が新たな懸念となっていました。
メジャーな登山SNSの一つのYAMAPでは、多くの人が高山植物の写真を投稿しています。そのほとんどに位置情報が付され、撮影場所をその人のマップ上で見られるようになっています。YAMAPでは、希少な高山植物の写真の投稿を禁止していますが、多くの人はそのことを知らないのではないでしょうか。中にはGPS情報を削除して写真を投稿している登山者もいますが、投稿の時系列などからだいたいの撮影場所が推測できます。
誰もが、山で出会った綺麗な花の写真を投稿して他者の共感を得たいでしょう。しかしそれにより、希少な野生植物の位置情報を悪意のある人物に提供してしまう可能性があります。
現に、悪意があるかどうかは別として、スマホの画面を見ながらうろうろと植物を探す様子の登山者をここ数年見かけるようになっています。
匿名で投稿でき誰もが見られるSNSへの高山植物の位置情報の投稿はやめて欲しいと思っています。
SNSの管理者も、投稿者に禁止行為をやめるよう、もっと積極的に促して欲しいと思います。
(注:このブログはいったい何人が読んでいるのかわかりませんが、希少性の高い植物については以前から載せていません)
牧野富太郎ゆかりの植物については、また機会を改めて紹介します(たぶん)。

